奥志賀周辺(長野) 巣場(1350m) 2021年3月13日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:02 除雪終点(駐車箇所)−−6:48 北野川にかかる橋−−7:00 林道を離れる−−7:50 910m肩で主稜線に乗る−−8:15 1009m峰−−9:40 巣場 10:06−−10:42 1009m峰−−10:58 910m肩で主稜線を離れる−−11:12 林道−−11:17 北野川にかかる橋−−11:51 除雪終点(駐車箇所)

場所長野県下水内郡栄村
年月日2021年3月13日 日帰り
天候小雨後曇後雨後晴、曇、雨 低気圧の影響で天候が不安定
山行種類残雪期の籔山
交通手段マイカー
駐車場極野集落の除雪終点に駐車
登山道の有無無し
籔の有無残雪のため不明だが少なくとも山頂付近は根曲がり竹の強固な藪の可能性が高い
危険個所の有無無し
山頂の展望展望が無いわけではないがブナが多く意外と良くない
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コメント日本山名事典記載の山。無雪期に林道から往復する手もあるが残雪期に遠回りして往復。関東甲信は低気圧の影響で雨の予報だったが栄村は雨雲ギリギリの場所で大降りされなかった。極野集落から北野川沿いの林道を上がり西樽沢川と桑ノ沢川に挟まれた尾根を経由して山頂に立つ。雪質は完全に残雪期で最も深くてスノーシューで足首程度。それも新雪のラッセルのためで古い雪はほとんど沈まなかったので4時間の歩きでも比較的楽だった。山頂付近まで植林が延びていたのはびっくり。山頂ではタイミングが悪く雨混じりの南寄りの暴風だったが、風を避けられる場所で休憩していたら風雨が止んで太陽が顔を出した。しかしその後は天候が不安定で晴たり雨が降ったりで、車に到着後は本降りの雨に変わった




極野集落の除雪終点 除雪終点から北野川沿いの林道を見ている
古いワカンかスノーシューのトレースあり 右に大きな堰堤
北野川にかかる橋。積雪は1m以上ある 北野川。橋が無ければ渡るのは無理な水量
林道を離れて斜面に取り付く 標高750m付近で自然林に変わる。かなりの傾斜
傾斜がきつく雪がズリ落ちた場所も 急斜面を振り返る。スノーシューが良く食いついてくれた
標高810m付近 標高820m付近。枯れ木が林立
910m肩の熊棚 910m肩で巣場に続く主稜線に乗る
雨の予報だが雲間から太陽が 標高820m付近。積雪は1m程度か
ブナの幹には熊が木登りした爪痕多数 標高960m付近。北側に植林登場
標高990m付近 1009m峰
980m鞍部 980m鞍部の積雪は50cm以下。まだ藪は濃くないようだ
980m鞍部からの登り返し 標高1070m付近から見た北志賀の山々
標高1080m付近。小規模な雪庇ができている 標高1160m付近で杉の植林が登場
標高1260m付近 標高1300m付近。杉から唐松へ変わる
強風を避けて山頂北側直下を登る 巣場山頂。平坦で明瞭な高まりは無い
巣場山頂から東を見ている
巣場山頂から西を見ている
巣場山頂西端から山頂方向(東)を見ている
山頂北側で風と雨を避けながら休憩 急激に天候が回復し、風がやんで日も差した
数か月使用した長靴はスノーシューを引っ掛けてボロボロ スノーシューを除く今回の装備
往路のラッセルは残雪ではなく新雪だったと帰りに気付いた 1050m肩から見た1009m峰
980m鞍部で見かけた唯一の目印(色が抜けかけた赤い絶縁テープ) 主稜線を離れて林道へ急降下
往路より西側で林道へ降り立つ 往路のトレースに合流
北野川沿いの林道は小規模なデブリあり 除雪終点到着。ちょうど雨が強くなってきた


・栄村の地形図記載の山は全て登ったが、日本山名事典記載の山は全部登ったわけではない。というか、そもそも山名事典記載の山を全てを把握しているわけではない。しかし巣場には登っていないのは確か。ここは林道奥志賀高原栄線から尾根伝いに近い場所にあるので、通常なら林道が通行可能な無雪期に登ろうと考えるだろうが、志賀高原の根曲がり竹藪は地獄レベルなのは体験済みである。私は長年の藪漕ぎで笹に対するアレルギーを持ってしまったので無雪期の長時間の笹藪漕ぎをやると体のあちこちに猛烈なかゆみを伴う発疹ができてしまう体質になってしまったので、行くなら雪のある時期と決めていた。

・今週末は太平洋岸を低気圧が接近し関東甲信は土曜は雨で、日曜になると一時的な冬型の気圧配置に変わって日本海側が雨の予報。この時期は短い残雪期を有効に利用したい季節なので雪がある場所以外は対象外(花粉を避ける意味も大きい)。しかも土曜は夕方までに通院の必要があり山に使えるのは半日程度。雨の範囲と所要時間との兼ね合いで巣場に決定。栄村なので一般道でも片道2時間程度。所要時間は雪質で大幅に変わるので想定が難しいが、少なくとも水無山よりかかること(往復8時間のラッセル)はないだろう。先週の金山を考えると雪は締まって歩きやすく、往路で3時間程度だろうか。予報によると栄村は雨雲の端で雨か雪が降るか微妙な場所であり、少なくとも大降りはしないだろう。

・地形図を見て起点候補は極野集落と坪野集落の2か所だが、この時期の雪質は日当たりのいい南斜面の方が圧倒的に良いはずなので坪野を避けて極野集落とした。おそらく除雪は集落までで、最後の人家より奥の北野川沿いの林道は未除雪だろう。林道が橋で北野川左岸に渡ったら林道支線に入り、適当に斜面を登って主稜線に乗る計画だ。地形図を見ると尾根幅は狭いように見える場所があり、念のために今回はマジなピッケルとアイゼンを持つことにした(結果的には必要なかった)。もちろん降雨に備えて雨具も持つ。いつもは雨具は防寒装備だが。

・出発時、長野市内では雨が降り始めたが北上すると雨はすぐに止んだ。徐々に雨の範囲は広がってくるだろうが予想通り栄村では大降りしないことを祈ろう。飯山市内の残雪量は前回通過した1か月前と比較してかなり減少していたが、栄村では僅かな平坦地でもまだ雪がたっぷりと残って藪の心配はなさそうだ。国道117号線から県道507号線へ入り終点の極野集落まで。予想通り集落南端で除雪終点。県道を少し戻って駐車余地で仮眠。残念ながら夜明け前になって雨が降り出した。朝飯を食って除雪終点に移動して路側駐車。雨量はまだ少なくカッパは着用せずに出発。しかしこれから雨量が増えるかな。真冬より雪は締まっているとはいえ、まだツボ足では踏み抜くので最初からスノーシューを装着。

・最初の心配事は林道が雪に埋もれて斜面と同じ傾斜となり、急斜面のトラバースの連続になっていることだったが、小さなデブリはあったが安全に通過できる状況の連続でピッケルの出番は無かった。林道には雪に覆われて痕跡は微かだがスノーシューかワカンのトレースがあり、この上だけはほぼ雪が沈むことはないので目を皿のようにしてトレースを探し出して辿っていく。トレースはどこまで延びているのだろうか? 今はまだ残雪期としてはスタートしたばかりであり、日当たりのいい場所よりは杉の植林帯の中の方が雪が締まっているので、林道の近くに植林がある場合はその中を歩いた。

・林道が北野川を渡る橋の上には欄干を越えて1mくらい雪が積もっていた。橋の上には長い竹が2本刺さっていたが除雪時の目印だろうか?

・橋を渡ると地形図通り右に林道が分岐、こちらが尾根に取り付くための林道だ。少し登るとさらに林道が分岐し、桑ノ沢川沿いを上がるのが左側で右は西樽沢川沿いを山頂北側まで上がる林道だ。無雪期なら利用価値があるだろうが雪があり藪が埋もれた今は林道を歩く必然性は無いので、この分岐付近から斜面に取り付くことにした。地形図を見ると標高750m付近の傾斜がきついが今回はマジなアイゼン、ピッケルがあるので崖さえ無ければ問題なかろう。

・最初は杉の植林帯で最も傾斜がきつい標高750m付近で植林が終わって自然林へ切り替わる。幸いにして崖はなく急な雪面をスノーシューとピッケルで登っていく(ピッケルが無くても登れる程度)。雪は適度な固さでスノーシューで数cm程度と僅かに沈むだけでありグリップが効いてアイゼンの出番は無かった。

・標高800m付近で傾斜が緩んで明瞭な尾根に乗る。この付近は尾根直上のみ立ち枯れた木が目立つ。木の根元は根開きし始めていて地面が見えており積雪量は1m程度か。木の根元からは早くも根曲がり竹が顔を出していた。傾斜が緩むと雪の沈み方がさらに少なくなって快適。これぞ残雪期だ。

・標高910m付近で主稜線に合流。ここには小さな熊棚あり。主稜線の北側斜面は杉の植林であった。西樽沢川沿いはずっと林道が延びているのでこれに沿って植林されているのかも。

・出発時は小雨が降っていたがいつのまにか止んでいた。そして一瞬であるが雲の切れ間から太陽が顔を出してびっくり。これなら思ったよりも天気の崩れは小さいかもしれない。

・豪雪地帯なので自然林はブナが中心で、その滑らかな幹には熊が木登りした爪痕が明瞭に残ったものが少なくなかった。これがコナラ、ミズナラだと幹の表面は凸凹で柔らかく爪痕が残りにくい。

・1009m峰は地形図通り平坦で北側は杉の植林帯。ここから緩やかに980m鞍部へ下ると色が抜けかけた赤い絶縁テープの目印が登場。今回のルートで唯一見かけた(気付いた)目印であった。鞍部の積雪は50cm程度と少なく、この目印が付けられたのが無雪期なのか残雪期なのか判断はつかなかった。
・980m鞍部から久しぶりに急な登り。肩から振り返ると平坦な1009m峰が見えていた。南には特徴的な三ッ山と台倉山が見えていた。これがはっきり見えるということは南側も雨が降っていないということ。まだしばらく天気は大丈夫そうだ。肩より先は再び傾斜が緩まり、山頂直下までその状態が続く。

・標高1160m付近でそれまで尾根北側斜面だけだった杉の植林帯が尾根上まで進出。ちょうどこの頃から小雨が降り出し杉の葉が雨除けにちょうど良かったが、杉の密度はそれほど高くなく隙間が多い。徐々に雨が強くなり濡れそうな勢いになってきたのでカッパの上着だけ着用した。ザックには出発時にザックカバーを被せてある。

・往路では気付かなかったが昨日降ったと思われる新雪が数cm程度積もっていた。高度が上がると徐々に風が強くなってきて雨が斜めから降りつけるようになった。無風で弱い雨が降っている状態なら上着とザックカバーでズボンはほとんど濡れないのだが、風があると話は別だ。微妙な雨量でカッパのズボンを履くか悩んだが、スノーシューを脱ぐのが面倒なのでそのまま歩いた。

・山頂に近い標高1300m付近からは杉から唐松植林へと変わり、落葉したままの今の時期では風除けの効果がほとんどなくなる。南寄りの冷たい風がかなり強く、防寒の意味でもカッパのズボンを履いた方がいいのだが、やはりスノーシューを脱ぐのが面倒でありそのまま歩き続けた。ただし南風を避けるために北斜面を登った。唐松植林は山頂直下まで続き、最後は疎らなブナ林に変わり、さらに風除けが減ってしまった。

・僅かな距離のブナ林を登り終えると広く平坦な巣場山頂部に到着。明瞭な高まりは無いが障害物が無く広範囲が見えるので最も高そうな雪面を山頂とした。まあ、この一帯はどこでも山頂として問題ない程度の僅かな高低差しかなかった。

・南風が暴風状態で小雨が横から飛んでくる。気温は+1,2℃でかろうじてみぞれになっていない程度。山頂部は疎らなブナが点在する程度で植生は薄いが、いかんせん山頂が広く平坦なのでいくら木が疎らでも平坦地全体のブナが邪魔をするので遠望はあまりいいとは言えない。南東には三ッ山と台倉山。台倉山には雲がかかっている。西側には大次郎山と電波塔が見えるのは毛無山だろう。

・山頂はふきっ晒しで雨風が強いので写真だけ取って北側斜面の大きなブナの根元に退避して休憩。一抱えくらいあるブナなので一人分程度の風除けには充分であった。縮こまって飯を食っていたら嘘のように急激に天候が回復しだして、風が弱まりほとんど無風に変わり、雨が止んで青空が広がり太陽が出てきた! 日差しは体感温度を大きく上げて温かいので、ブナの影から出て何もない雪原に休憩場所を移した。

・ここで防寒長靴を見たら両足とも内側が破れていた。これはスノーシューのフレームが当たって破れたものだろう。私のスノーシューはフレーム全体に歯が付いているので引っ掛けやすいのであった。まあ、この長靴は\3000程度だったし冬の間は毎週使って4ヵ月持ったのだから元は取れただろう。まだ長靴は2足あるが防寒用は無く、残りの残雪期を考えると防寒長靴が欲しいがこの時期にまだ売っているだろうか? この破けが原因で帰りには靴下が濡れてしまった。

・飯を食い終わって下山開始。ここまでの尾根は緩やかでガスって視界が無い時などは下りで苦労しそうだが、今はガスは無いし新雪にくっきりと往路のトレースが残っているのでルート判断に苦労は無かった。

・天候は不安定で、このまま晴れるのかと思ったら曇りに変わり、さらには雨が降り出した。しかしその後は雨が降ったり太陽が顔を出したりと目まぐるしく天候が変わり、結局は最後までカッパを着たままだった。

・910m肩で主稜線に別れを告げて東へと下り、往路と違ってその尾根を最後まで下ってみた。途中まではいい傾斜だったが最後は急な尾根に変わり、ずり落ちないよう注意しながらスノーシューのまま下った。雪が締まってほとんど沈まない状態だったらスノーシューでは下れない傾斜だった。

・植林帯で尾根が終了。往路のトレースは北の方だろうがどこかで林道に合流するはずで斜面を真っすく下っていると雪に埋もれた林道が登場。これを左(北)に進めば往路のトレースに乗るはずと緩やかに下ると林道分岐で自分のトレースに乗った。あとは極野集落まで自分のトレースを戻った。日中は気温が上昇したようで自分の足跡の上を踏んでも帰りは雪が沈んで足が重かった。雨も徐々に強くなってきて極野集落に到着する頃には本降りになっていた。


おまけ
・帰宅後にネットで巣場の記録が無いか軽く検索したが、発見できた唯一の記録は例のごとくDJF氏の記録であった。確かにDJF氏が記録をアップしていた記憶は微かにあったが、私にとって巣場は当時はターゲット外だったので詳細は読んでいなかったように思う。よりによって無雪期の記録であったが、その根曲がり竹の藪の強烈さは想定以上であった。氏は往路では奥志賀高原栄線から山頂へ最短の尾根を下ったが、あまりの藪のひどさに帰りは遠回りになっても藪を回避できる沢と林道のルートへと変更し、ムジナ沢に下って沢沿いの林道に至り、奥志賀高原栄線へ登り返したとのこと。さすが志賀高原の根曲がり竹は半端ではない。氏の所要時間は往路約1.7kmで3時間半。私のルートは片道6.5kmで3時間40分。私の場合はスノーシューなのでもし夏道があった場合よりは時間がかかっているが、DJF氏の速度は私の1/4である。これで志賀高原の藪の凄さが分かるだろう。しかも疲労度は氏よりも私の方がはるかに軽く、どうもこの山は通常の体力、精神力の持ち主では無雪期に山頂にたどり着くのは不可能らしい。この記録を読んで残雪期に登って良かったぁと心底思ったのであった。

 

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